卵菌(らんきん)は、原生生物界の不等毛植物門卵菌綱、あるいは原生生物界から分置されるクロミスタ界の卵菌門に分類される生物。同じクロミスタ界に分類されるサカゲツボカビ類とともに菌類様の外見を持つものが多い。
最も簡単に観察できる卵菌は、ミズカビ類である。 もしも金魚を飼っていれば、水底に沈んだ餌の残りや、産まれた卵が無精卵や発生異常などで死んだときなどに、その表面に綿毛のようなものが密生するのを見る機会があるであろう。実験的には淡水中にスルメのかけらや麻の種子をゆでたものを入れることで、たやすく観察できる。 ただし、死んだものに着くものでも、時には弱った魚など生きている生物を攻撃して寄生する場合があり、養殖などに被害を与えることもある。
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ミズカビ類の遊走子嚢形成に際して基質から水中に立ち上がる菌糸は基部の直径がしばしば100μm以上と非常に太く、肉眼でその本数が数えられるほどで、長さも1cm程度には軽く達する。菌糸先端が区切られて遊走子嚢となり、先端に開いた穴から遊走子が泳ぎだす。遊走子嚢内の遊走子の輪郭がはっきりしてから泳ぎ出すのに数十分程度なので、顕微鏡下で泳ぎ出すのを観察するのは簡単である。
ミズカビ科の他に、フハイカビ科のフハイカビ(Pythium)の淡水中で腐生生活をする種が同じような条件でよく出現する。フシミズカビ科のフシミズカビ(Leptomitus)やオオギミズカビ科のオオギミズカビ(Rhipidium)も同様に淡水中で腐生生活をするものである。
植物寄生菌 [編集]
ツユカビ目の多くは陸上植物の地上部に寄生する絶対寄生菌で、植物にベと病を引き起こすツユカビ科と白さび病を引き起こすシロサビキン科が知られる。ツユカビ類は、接合菌門のケカビ類に見られるような、宿主から立ち上がった胞子嚢柄の先端に胞子嚢を形成する。この胞子嚢自体がカビの胞子のように飛散して宿主に到達する。この胞子嚢はミズカビの遊走子嚢と相同であり、宿主に到達し、そこに水があると遊走子を放出する。ツユカビ目には二次型遊走子しか見られない。遊走子を放出せず、直接葉状体が発芽するものもあり、いずれにせよ宿主の組織内に侵入し、宿主の細胞内に吸器が差し込まれ、寄生が成立する。
ツユカビ類以外にも陸上植物に寄生する卵菌が知られており、ミズカビ科でもAphanomycesには水生種だけではなく陸上植物寄生種が記録されている。フハイカビ科にも水生種に加えて陸上植物寄生種が数多く知られ、19世紀にジャガイモに壊滅的な被害を与えてアイルランドに大飢饉(ジャガイモ飢饉)をもたらした疫病の病原体も卵菌のフハイカビ科に属するエキビョウキン (Phytophthora) である。フハイカビ科では他にフハイカビ(Pythium)とSclerophthoraに陸上植物に寄生する種がある。
菌寄生菌 [編集]
フクロカビモドキ科のフクロカビモドキ(Olpidiopsis)はミズカビ類など同じ卵菌類の寄生者で、袋状の単細胞葉状体がミズカビなどの葉状体の原形質内部に浸って寄生生活を送る。和名学名共に菌界のツボカビ類に属するフクロカビ(Olpidium)に、全実性の菌体がよく似た姿をとることによる。